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van van van ちょびっと yan yan yan ちみっと 

第42幕

「でさ~、そのチョコバナナがぼぉーん! って爆発してさっ。もう大変だったんだよ~」
「そ、そうなんですかぁ?! それでそれで、そのヒヨコさんはどうなってしまったのでしょう」
「それがさっ、爆発したチョコバナナに向かって行ったっさー! チョコまみれ、クリームまみれになりながら、ヒヨコはバナナの中心に辿り着くんだよ。そうしてひよこは無事、竹串の旗を掲げて大人のヒヨコになったわけさ~」
「わぁ~、よかったです。今度、そのヒヨコさんに勇気を分けてもらいたいですね~」
「みくるも同じ経験をすれば、きっと大人のヒヨコになれるかもしれないね」
「それは難しいかも……」
 午前と午後の授業が終わって、私は鶴屋さんと廊下を歩いています。放課後になると部室に行く途中までいつも一緒で、安らぎます。まるで森の中で優しいお日様を浴びているよう。
 少し、見上げるくらいの鶴屋さんの顔が眩しく感じます。
 髪の色はお茶っ葉みたいに濃い緑色でお尻のの下まで伸びていて、八重歯かキュートな元気一杯文武両道、スクリーンの中でヒロインを演じても違和感が無いくらいのスタイルな、何でもござれな彼女は、私の転入時に初めて声を掛けてくれたんですけど……。そのお話はまた、後日です。
 鶴屋さんは私の右肩を小動物を扱うように、二回あやしながら、
「でも、みくるはそのヒヨコよりも勇気があると思うよ?」
「そそそんなこと……」と廊下のタイルを見る私。左肩からはお母さんの感触がします。
「なんせ、あのハルにゃんの部活に自ら入ったんだからね! もっと自信、持ちな!」
 あやしていた手をほんの強く叩きつけて、元気付けてくれる。
「じゃ、私はここで分かれるよ。今日も頑張って部活行っといで!」
「はい、頑張りますっ」
 両腕を曲げて答える私。それを見届けると、鶴屋さんは靴を履き替えて 「じゃあね! ここまで来てくれて有難うにょろ~」 と甲を見せて手を振りながら校舎を後にしていきました。私も胸の辺りで手を振って見送ります。

「いたいた! みくるちゃん、探したわよ!」
「ほえ?!」
 気付くより早く、見送っていた手首を掴んで、引っ張られて転びそうになったんですが、私にはそれが誰なのかすぐに分かりました。私が入っている部活の団長さん。涼宮ハルヒさんです。
 セミロングの黒髪で、両耳の上辺りから出ている山吹色のリボンを縦に揺らしながら、迷いの無い軽快な足取りでどんどん進んでいきます。ちょっと、付いていくのが大変です。
「ふふん、いい? みくるちゃん。今日はきっと面白いことが起きるわよ!」
「は、はぁ……?」
 一体、今日は何が起きるのでしょうか。また、変な衣装を着させられるのかなぁ。でも、何が起きても、未来を護るために、朝比奈みくるは頑張ります……多分。
 
   バタンッ!

「待たせたわね!」
「こんにちはぁ」
 扉が壊れてしまうんじゃないでしょうかと心配してしまうほどの音でした。大丈夫かな……? 
「…………ちょっと、あんた。何してんの?」
「あ、あれ、え、え、ええ? ふええ?!」
 私も同じ気持ちです……二つの長机は左と右の壁際に分けられて、中心にはヘンテコな帽子が付いた一つの椅子。部室の部屋を間違えたのではないでしょうか。そう思いたくなりました。だって、だって、その椅子の上でキョンくんが、キョンくんが!

 長門さんに……キスを?!

「ぬ、ああ! ハルヒ、落ち着け! お前は今ものすご~く勘違いしてるぞ?」
「ぬぁにが、勘違いの、思い違いの、節穴どぁってんのよ!? このスットコドッコイ!」
「いててて! 待て、締まってる! しま――」
 涼宮さんがキョンくんの首を手の平でラッピングしています。十センチくらい身長差が在りそうなのに持ち上がりそう……。それを降参するように叩いているキョンくん。
 どうしよう……どうしよう……とりあえずメイド服に? って違います、ナース服に? カエルさんに? って、これも違います! そんな事してる場合じゃなくて、えっと、えっと、そうだ。涼宮さんを止めないと! このままじゃキョンくんが保健室行きになってしまいます! 保健室で済めばいいですけど。
 急いで駆け寄って、鬼さんになった団長さんを止めようと締める腕を掴みますが、離れません。同じくらいの体格なのに凄い力持ちです。これでは勝てそうに無いので
「涼宮さん、落ち着いてくださぁい! そのままじゃ死んでしまいますよぉ!?」
 と、口だけで言うしかありません。

 なんだか涙が出てきちゃいます。助けて、ヒヨコさん!


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