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君の目の前に居るのに遠くから聞こえた

第33幕

 外国、いや日本にも貧困に悩まされているう人々は少なくない。そのような人々を支援するための団体や組織が世の中には存在しているわけで、あたしたちの知らない間に活躍している。尤も知ろうとしないだけなのかもしれないけどね。

 その団体に晴れてSOS団も仲間入りすることが出来そうだ。そうだな、体育館の高さ2つ分くらい、胴回りは体育館の半分ほどありそうな、こんなにでっかい野菜があれば一年、半年は過ごせんるんじゃなかろうか。よかったなハルヒコ。これで世界を大いに盛り上げられるぞ……お前のためじゃないけど。

 まるで、成長を促すかのように切れ切れに光のリドーが超大根( 我ながらハルヒコばりにセンスがないが、こうとでも呼んでおこう )を見守っている。なぜ、大根なんだ。もしや、喜緑さんがSOS団の部室に来た際に出したアレが原因か? ほんと、"夢"のような空間だな。他にもこんな部屋があるのだろうか。だとしたら、食糧難には困らなさそうだ。でも、住みたくはないな、うん。

「う~ん、まずまずね。これなら煮ても大丈夫かもっ」

 声がするのは前方。おかしいな、前方には喜緑さんしか居ないはずだが、この声の主は明らかにあの瑠璃色長髪宇宙人のものだ。そう気が付くと、すでに右肩の重力は通常のものとなっており、喜緑さんの肩越しから10メートル以上離れたところに奴は居た。左手には白い物体。おい、何――食ってるんだ?

「キョンちゃんも味見する?」
「……いや、遠慮しておくよ」

 花も恥らう乙女とは思えない好奇心。恐れ入るよ朝倉涼子……そんな得体の知れないもの、普通は食べません。思わず、あたしの右手が額を覆う。・・・はぁ、そろそろ前髪を切ったほうが良さそうだ。

「正面の中心をご覧ください。あちらに見えますのが、かの宝、失われたペンダントで御座います」

 大型乗り合い自動車の案内役さん宜しく。制服が幻視できるほどの可憐さで調査結果を報告する喜緑江美里さん。その言葉が本当なのかどうか、あたしにはわからない。知る術もない。なぜなら、中心には何もなく、ただただ青白い地肌が見えるのみだったからである。

「誰も表面の中心なんて言っておりません。重心。詰まり、内部の中心です。含羞なさい、早計の君」
 
 いや、どちらにしたって不肖なあたくしめには、認識することまかりならんわけで。

「――――――それにしても、腑に落ちません」

 ふと、喜緑さんは腕を組み、右の人差し指を頬に当てながら問う。

「大根という植物は、地中で成長するものでしょう。それが何故、実をさらしているのか……」
「―――キョンちゃん! 避けて!」

 警告するのと同時に懐から出した"何か"を投擲する。右手を振り上げて1つ、下げて1つと投げ出された"何か"はあたしの顔面の左すぐ傍を通り過ぎ、左足の横に突き刺さった。・・・コンバットナイフであった・・・っ、っぶないな朝倉!! 何するんだ!? という思いもナイフの先に刺さっている物体を見て消え失せた。

「……ツタ?」


 地鳴りがする。


 な、何なんだ一体!? 続く地鳴りと共に、無数のツタがうねりを上げる。ツタというか、こりゃ根っこだ。それらが一瞬にして枯れ木の林を生やし始めていく……考えたくはない事だが、

「どうやら、この植物は養分に大型の生物も取り込めるようですね。それに加えての異常成長。もはや植物というなどおこがましい。肉食動物と同意ですね」
 
 と、言うことだ。これ、テストに出るからなー、喜緑先生の話は良く聞いておけよー?
 「なら、これを採取しちゃえばこの空間からおさらばできるってわけねっ」と、あたしの横に並ぶ朝倉。言い終わると共にしゃがみ込むと、呪文を呟き、地盤から棒を取り出す。長さは90センチメートルほど。形状はそうだな、木刀に似ている。石刀とでも言えるのだろうか。しっかし、別にそんなもの創らなくても、お前なら勝てそうだけど?

「たまには趣向変えしないとねっ」
「お前の場合は趣向を変えすぎなんだよ……」
「では、あとは宜しくお願いしますね、朝倉さん」
「はい? 貴方もやるんじゃないの?」
「残念ですが、私の出る幕はないでしょう。と言いますか、私に頼らなくても朝倉さんなら出来ますよね? この程度の物体を倒すことなど」
「・・・あったり前でしょう! いいわ、そこで見てればいいわよ!」

 喜緑さんに唆された朝倉は、右手に持った石刀を突き出して、意気揚々と朝倉は言い放つ。

「メッタメタにしてあげる!! 先ずは、カツラ剥きなんてどうかしらっ!」

 実に、楽しそうである。あたしは、その元気をあたしにも分けてくれ、と願う他なかったね。


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