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澄み渡る空果てしないほど蒼く、無邪気な心に満たされ震えてく

第9幕

「あー!腹減ったなぁ。みんな~、そろそろ昼飯にするぞー」
「・・・」「はいぃ~」「分かりました。」

 あいあい、やっと昼か。なんか長かったように感じられる。やはり早起きなんてするものじゃぁないな。余計に疲れを感じる。それにしても、集めた落ち葉が30センチはあろうかというほど盛られている。ここの神社、神主ってのは居るのだろうか。ま、そんな事より飯だ飯。さぁて、弁当弁当っと。


 
「おお~!どれも旨そうだなぁ~。って、なんだぁ~?1つだけ見栄えが悪いなぁ」
「そ、そんなことありませんよ。キョンさんも一姫さんもお上手です!」

 有り難うございます。こんな稚拙な出来をそんな輝くような笑顔で褒めて下さるとは。このままどこかに店を出してもやって行けると勘違いしそうなほど嬉しいです。じゃ、早速いただきましょうか。朝比奈さんの弁当は花の形をしたニンジンやタコさんウィンナー、ウサギさん林檎と実に可愛らしいものだ。とても男性が作ったとは思えない。ぜひその極意を教わりたいね。古泉は・・・正月と勘違いしてないか。巡り巡ってあたしのは、やはり無残。形が所々崩れすぎだ。はやく食べて隠滅してしまいたい!そう思って、正面で手を合わせて「いただきます」と言ったところで

「待ちなさい!」
「ん?」
「まさか、このまま普通に食べれるとでも思っていたのか?」

 ほくそ笑みながらハルヒコが取り出したのは、いつも不思議探索をするときに使う爪楊枝だった。5本あるうちの2つに印がついており、二手に分かれて行動するのだ、いや、しかしなぜ昼食のときにそれが出てくるんだ?

「今日はこれで食べさせっこをして貰うぜ!」
「「ええええええええ」」「・・・」「これはこれは。」

 3点リーダはもちろん長門であり、あたしとみつる先輩は声を出すのが精一杯の驚き。古泉は気のせいだろうか、どこか不敵な笑みを・・・。しかし、なぜそんなことをしなきゃならんのだ!!説明を要求をする!

「普通に昼食摂っていても別世界なんてものは出てこないんだよ!皆で楽しく陽気にどんちゃん騒ぎしてたら、ひょっこり重~い岩戸の影から現れるもんなんだよ。」
「ほら、分かったらさっさと引く!最初はみつるからだ!」

 いや、全然理解も承諾もしてないんですが。ああ、朝比奈さんがオドオドしつつも引いてしまった。

「あ、なにもついてないです~」

 で、次はあたしですか、そうですか。嫌々な顔を隠さずに手を伸ばす。お、赤い印がついてるな。それから「では、私が」と言って古泉が引く。何もついていない。

「これは、残念です。」
「ほれ、勇希」
「・・・」

 長門が引いた爪楊枝には印があった。ってことは長門と食べさせ・・・・っこ?

「ふぅ~ん、この組み合わせか。いいか、2人とも!これは遊びじゃないんだからな、思いっきりお互いに食べさせないと盛り上がらないし不思議だって起こらないんだから別世界の人に見せ付ける感じでやれよな。常に回りを気にしろ!じゃ、キョン子の弁当でやるんだぞ。」

 なんだその応援しているようでかなりプレッシャーをかける発言はっ!っく、だがまあ長門とならそんな緊張することもないな。別にあっちもただの任務としてやるはずだ。やるのか?いいや、そうに違いない!互いに箸であたしが焼いた玉子焼きを取る。

「すまんな。あたし、あんまし料理慣れてないからそんな美味しくないかもしれん。むしろ不味いかも…」
「大丈夫、貴方が作ったものなら心配はない。」

 そ、そうか。随分信用されているな。それに長門の事だ。いざとなったら情報操作とやらで玉子焼きもふわっふわで素材の風味が存分に香る極上の料理へと改変する筈だ。むしろ危ないのはあたしの方だろう。ああ、さっきから「何やってんだ、早くしろー」ってハルヒコがうるさいっ。


「じゃ、じゃあ行くぞ。」
「・・・」(コクッ)

 互いの腕をクロスさせ半開きにされた口内へと玉子焼きを運ぶ、瞳と瞳で見つめ合ったまま・・・ああ、うるさい。バクバクドクドクと誰かの心臓の音が。なんだか聴覚が突然発達したかのようにあたしと長門の息遣いがすぐ傍で感じられる気がする。いやいや、気のせいだろそんなの。ああでも、なんだか視界がぼやけてきた…。もう長門の口元しか見えない・・・そこにもう到達するあたしの玉子焼き。長門・・大丈夫だろうか。出来るだけ味わってくれたら嬉しい・・・そして、予想だにしないことが起こった。

 ―――あ~ん」

  「「パクッ」」

 え、何だ。今の音。いや、声!いや、案外上手に出来てるなあたしの玉子焼き。良かった良かった。って、そうじゃなくてえええ! ぬあ、クラクラする。全身の血が沸き上がり前後左右も分からない。まさか、あたしが?!あたしが発した?!と、とりあえず辺りを見回して状況を把握しよう。ハルヒコは口を尖らせつつなにかつまらなそうな顔で、朝比奈さんは口元に手を当てて驚いているようだ。そして古泉も口元に手を当てておどろ・・・咽び笑っていた。

「こーいーずーみー!!」
「・・・あら、どうしたんですかキョンちゃん・・・っふふ!」
「お前って奴は、どうしてそう余計な事を・・」

 くいっと引っ張られる袂、なんだい長門!?

「おいしい。」
「そ、そうか。…有り難う。でも、あたしがされた仕打ちはおいしくないんだよ。」
「おや、私はただキョンちゃんの手助けをしようと思って」「どこがだっ!」

 その後も何回か同じようなことをやらされてお弁当の中身を減らしていった。
 母さんあたし。もう・・・お嫁にいけません。

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