FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

こうやって今此処で開花する傷付け合いの会話が

第60幕

 坂道を降り切った公道と歩道が入り混じる場所で、キョン子は朝倉に馬乗りにされて倒れて込んでいた。
 古泉は俺の前に。長門は口を不用意に開いた表情で固まる朝比奈さんと、驚愕しつつも質問事項を駿足に考えているであろうハルヒを庇うように立ち塞がる。

 これは賭けてもいいが、この中で一番驚いているのは俺だ。

 忘れもしない、入学一年目の五月。俺にハルヒのトンデモ能力とそれを取り巻くSOS団(俺を除外する)三人の馬鹿げてる自己紹介を信じさせた元凶。そのあと約七ヵ月後の十二月十八日からの三日間を彩った脅威。
 前者はまだ救いがあった。何も痛い思いをする必要はなかったからな。だが後者は忘れもしない。忘れられる筈がない。無機質が有機部分を抉るあの急激な冷たさを、急激に暖める。冷たくも熱い感覚はいくら人間の脳が忘却を続けるとしても決して消えはしない、心的外傷となって俺の細胞一つ一つに刻み込まれている。
 だが、何故だ。あいつは最後に。あの三日間の最後に――。
 どうなったんだ。
 そういえば思い出せない。結局アイツはどうなったんだ。分からないのならば、安心できる要素がない。当たり前のことだが、これは、俺が生きるのに地球上の水が無くなるほどに死活問題であり、その問題には、朝倉涼子は生きているという条件が一つ付け足される。
 なぁ、それって冗談だろ? あの日、お前はコイツを無に帰したんじゃないのか?
 出したくない答えなのに。証明してもいない証明問題に誰かが勝手に答えを書き込みやがった。お陰で俺は驚きを声にするので精一杯じゃねえか。一体誰だ。何でそんな答えを書き込んだんだ。アイツは、
 朝倉涼子は――――生きている。
 急激に喉が渇いていく錯覚を覚え、無性に喉を潤したいが、そんな暇はない。俺と同じ目にキョン子を遭わせるわけに行かない。行かないが・・・アイツの手には何もない。その両手はキョンこの両脇を通り、ザラつきゴツゴツしているアスファルトを押している。
 それでも止せばいいのに、不安要素が、安心要素との天秤に勝り、キョン子からそいつを剥がさせようと身体を前に出し――

「いけません」

 ぐっとブレザーを纏った安全バーに止められる。
 止めるな古泉。今行かないとキョン子がっ
「落ち着いて下さい。もしそうなら、長門さんが既に動いている筈です」
 その名を呼ばれ目線を上げれば、長門は朝比奈さんとハルヒの前に立ったまま、動かない。
 長門が動かないのなら朝倉的被害は出ないのだろう。でも悠長すぎやしないか。一歩間違えればキョン子の華奢な腹が真っ赤に染まっているかもしれなかったんだ。それに早く行動しないから、ハルヒが質問事項をがまとめ終わって、
「なんで、アンタがここにいるのよ? 朝倉涼子」
 将棋で言う"歩"を、ハルヒは進めた。

 
<<Back   Next>>



スポンサーサイト
コメント

No title

「キョン子の華奢な腹が~」の所が
「キョン子の華美な腹が~」のように見えてしまっt(ry
キョンお前何谷口みたいなこと言ってんだ...とか思ってしまt(ry



よし、朝倉!
キョン子に悪戯して(性的な意味で)キョンを唖然とさせるんd(蹴

No title

ちこっと指摘。多分、行動× 公道○ではないかと。
この朝倉はキョンの知らないキョン子の世界の朝倉なんですね?
あっちの朝倉の壊れっぷりを知らないキョンの反応が楽しみな(笑)

No title

蔵人さん>コメント有難う御座います!
ご指摘助かります!
もう、ほんと急いで載っけるものじゃあないですね(汗)
そうです。 ハルヒコ世界へ訪問してきた朝倉さんでっす。
壊れっぷりを知ったキョンの反応には興味はありますが、盛り込めますかねえ(苦笑)

蔵人さんのSSは読みやすいですよね。
早い上に誤字が無くて読み易いとはどういう、魔女の宅急便だろう。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。